化学、エネルギー、石油化学などの工業用プラントの構成部品は、多くの場合、高温や高圧および腐食性の高い劇薬にさらされます。このため、高温下でも非常に優れた耐腐食性や耐酸性のある鋼材を必要としています。
オーステナイト鋼に用いる場合には、溶接継ぎ目のフェライト組織量が厳密に基準の範囲内である事を確認することが重要です。最適なフェライト組織量は、それだけで、最高の耐腐食性を確保することができるからです。
この理由から、関連の産業ではフェライト組織量に関する規格や仕様および規則を設定しています。
例えば、オーステナイト鋼製のボイラーとパイプラインの継手の溶接過程で生ずる熱により、結晶格子に変化が起きフェ ライトが形成されます。フェライト組織量が少ないと溶接の継目は強度が悪くなり、多すぎる場合は破壊靭性(ねばさ)や延性、および耐食性を低下させるので、溶接プロセスでは正しいフェライト量を生成することが重要です。
特に二相ステンレス鋼においては溶接工程で熱を受ける部分のフェライト組織量が簡単に許容値から外れる可能性があります。不適切なフィラー材料や溶接時の間違った入熱や冷却などが原因です。
現場でのスポット測定は、フェライト量が許容値内であり、溶接処理が機械的特性や耐食性を劣化させていない事が確認できる唯一の手段です。
これらの要件を満たすために、磁気誘導方式でフェライト組織量を測定する携帯式のFERITSCOPE FMP30をフィッシャー社が開発しました。測定値はパーセントかWRC (溶接 研究評議会)のフェライトNo.のいずれかで表示します。 FERITSCOPE FMP30 は、同軸式、角度付き、穴の内側測定用など、様々な形状の特製プローブを装備することができます。
FISCHER FERITSCOPE FMP30 は、信頼性の高い正確な値で、フェライト組織量を%FeやFN表示で測定します。